原因・発症・進行と症状 ②

リンパ浮腫発症のポイント

ここでリンパ浮腫の発症について、大きなポイントが二つあります。

発症時期は各個人によってそれぞれ違う

浮腫は、術後すぐに生じる場合もありますが、10年、20年経過してから発症する場合もあり、発症時期には個人差が大きいと言われています。

リンパ浮腫は、上肢や下肢が太くなっていない場合でも、すでに発症していることが多い

リンパ浮腫の症状は個人差が大きいと言われており、上肢や下肢で太さに左右差が見られるような場合には、それなりに進行してしまっていることもあります。そのため、リンパ浮腫がどのように進行するのか理解することが大切です。

リンパ浮腫の進行と変性

リンパ節郭清により、リンパ流はその付近で閉塞し停滞します。それによりまず、リンパ管の内圧が上昇することでリンパ管は拡張します。その状態が続くと、次にリンパ管自体に負担がかかり変性をきたすことになります。

変性について少し詳しくお話しします。キーワードは、①平滑筋と②内皮細胞の二つです。

まず、太いリンパ管の外側は平滑筋という筋肉で構成されています。通常は、この筋肉によってリンパ管の蠕動運動が可能となり、重力に逆らった能動的なリンパ液の輸送が可能になります。しかし、リンパ管の内圧上昇が続くと、平滑筋が形質転換して増殖し肥厚することで内腔がどんどん狭くなっていくのです。

次に、リンパ管の内側は、リンパ管の内皮細胞同士が接着することで構成されていますが、リンパ管の内圧上昇などにより、この接着がゆるんでいき、個々のリンパ管内皮細胞が離れてしまいます。この過程いおいて、リンパ管内からリンパ液が漏れ出ていまうため、リンパ管のリンパ液の回収能力が低下してしまい、浮腫が悪化するのです。

このように、リンパ管の変性に伴いリンパ浮腫は進行していきます。つまり、リンパ流の閉塞・停滞という根本的原因を改善しない限りは、リンパ管の変性は着実に進行していくのです。さらに、四肢の各部位におけるリンパ液の貯留は脂肪沈着や脂肪組織の肥大化を引き起こすこともわかっています。たとえ保存療法や外科治療で患肢のリンパ流を改善したとしても、肥大化した脂肪組織は残存してしまいます。そのため、リンパ浮腫の早期診断・早期治療介入が大切なのです。


林明辰 Akitatsu Hayashi
亀田総合病院/亀田京橋クリニック
リンパ浮腫センター センター長

超音波や光干渉断層撮影(OCT)を用いた、最先端のリンパ管のイメージング技術を世界で初めて発表。その技術を併用した、より効率的・効果的なリンパ浮腫手術の普及に力を入れている。プロフィール詳細


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