最新の画像診断 リンパ浮腫の治療において、超高周波超音波を使用してリンパ管を診断し、より効果的に効率よく手術を行う世界初となる方法を2017年に確立・発表しました。この技術によって手術の際に造影剤を使用しない治療が実現し、体への負担を大きく軽減することが可能となりました。 超高周波超音波によるリンパ管・リンパ浮腫の評価 リンパ浮腫はリンパ管の変性に伴い進行していきます。詳しくは、別ページの「リンパ浮腫の進行と変性について」に記載しました。 ここでは従来の「高周波超音波」による診断と、新たな診断法である「超高周波超音波」について比較します。 従来の「高周波超音波」によるリンパ浮腫の診断 「高周波超音波」を用いた従来の評価方法は、皮膚・皮下組織・液体貯留の状態を定期的に観察することでリンパ浮腫の重症度・増悪のタイミングを把握することができるため、リンパ浮腫の日常診療に有効です。 しかし一方で、 拡張していないリンパ管は捉えにくい φ0.3~0.4mm以下では他組織との判別が難しい リンパ管の質の評価までは実現できない など、いくつかの弱点がありました。 下記が高周波超音波で同定可能なフェーズです。 高周波超音波での同定範囲 「超高周波超音波」によるリンパ浮腫の診断 「超高周波超音波」を用いた最新のリンパ浮腫評価方法では、最大70MHzの超高周波スキャンにより、リアルタイムに高解像度で確認することが可能に なりました。さらに、従来の高周波超音波では困難だったリンパ管の変性を捉えることが可能となり、リンパ浮腫の進行において、より広いフェーズでのリンパ管の同定が実現しました。 超高周波超音波での同定範囲 低侵襲で効率的/効果的なリンパ浮腫の診断・手術が可能に 超高周波超音波を用いることでリンパ管の変遷を捉えることが可能となり、従来より非侵襲的かつ、効率的な診断・治療への活用、さらには新たな手術法の開発が期待されています。 関連記事 むくみとリンパ浮腫 原因・発症・進行と症状 診断 治療法 術後 手術の注意点・合併症 予防と運動療法 林明辰 Akitatsu Hayashi亀田総合病院/亀田京橋クリニックリンパ浮腫センター センター長 超音波や光干渉断層撮影(OCT)を用いた、最先端のリンパ管のイメージング技術を世界で初めて発表。その技術を併用した、より効率的・効果的なリンパ浮腫手術の普及に力を入れている。プロフィール詳細