がんの外科的治療や放射線治療後などに生じる「リンパ浮腫」は、四肢に発症するため、日常生活の動作(ADL)や生活の質(QOL)と関連して重要な課題として近年注目されています。
私はこれまで、顕微鏡を使って0.5mm前後の小さな細い血管を縫うマイクロサージャリーを専門としてきました。その技術を応用することで、既存の治療法のみでは治療が難渋していたリンパ浮腫の大きな改善が期待できることがわかってきており、私自身も1,100例以上の手術を通してその効果を目にしてきました。
リンパ浮腫は、見た目ではわからない段階から始まっています。外科治療の併用、また最新の検査を用いたリンパ浮腫の予防や早期発見によって、がんの治療後も高いレベルでADLやQOLを保つことができるよう、がん術後にリンパ浮腫の不安を抱えている方の一助になれれば幸いです。
林明辰